不動産売却の際に知っておきたい「売却希望価格」の決め方
前回の記事では、事業用不動産売却における「不動産仲介事業者」との契約の種類と注意点についてお話ししました。
今回は、不動産の「売却希望価格」を適切に設定する方法についてご紹介します。
売却価格の基準となる「相場」を把握しておく
不動産売却は、最終的には買主との交渉で価格が決まりますが、その前段階として、自分の不動産がどれくらいの価値があるのかを知っておくことが重要です。
売主として希望する売却価格が相場より安すぎると、買主がすぐに見つかるかもしれませんが、仲介を依頼した不動産会社が自ら買い取って転売する可能性もあります。
その場合、相場を知っていれば売主が得られたはずの利益が不動産会社に流れてしまいます。
逆に、相場よりも高すぎる売却希望価格を設定すると、簡単には買主が見つかりません。
買主を探すためには、多くの不動産会社や事業者、あるいは資産家と面談を重ねる必要があります。
「高くても欲しい」という買主に出会うまでには時間がかかるため、急いで資金を調達したい場合には向きません。
適正な利益を確保しながら自分の状況に合った売却を実現するためには、相場を把握しておくことが非常に大切です。
土地価格を左右するさまざまな要因とは?
土地の価格はその土地が持つさまざまな要因によって左右されます。以下のような要因を総合的に判断して、価格が決められます。
<場所>
土地価格を決める上で最も重要な要因の一つです。一般的には都市部や都心へのアクセス性の高いエリアは需要が高いため価格が高くなります。
都心へのアクセス性は距離だけでなく、「最寄り駅から急行や特急などが出ている」という特徴も影響します。
また、最寄り駅から徒歩10分以内の土地は駅近とされ価格が上昇しますが、それ以上離れると一気にアクセス性の評価が下がります。
さらに、エリアの持つ雰囲気やイメージも価格形成に大きく関係します。
特に「都心へのアクセス性が高いエリアでありながら、静かで緑豊かな」「治安が良く安心して住める」などのイメージがあるエリアは高値で取引されます。
<地域地区:用途地域>
都市計画法で定められており、「住宅用」「工業用」「商業用」などの区分があります。
区分ごとに建てられる建物の規模や建ぺい率、容積率などが異なります。
例えば有名な高級住宅地はほとんどが「第一種低層住居専用地域」に指定されています。
高さ制限が厳しく、住宅以外の建物はほとんど建てられないため、静かに暮らしたいという需要に応える用途地域です。
一方、工業地域や商業地域はそれぞれ工場や倉庫、商業施設向けとされる用途地域です。
<周囲の環境・施設>
周辺に大型ショッピングセンターなどの施設があると、生活の便利さが高まるため土地価格が上がります。
逆に、ゴミ処理場や工場など、臭いや騒音が気になる施設が近くにあると土地価格が下がります。
・<敷地に接する道路:前面道路>
広い道路に面している土地は車の出入りがしやすいため高く評価されます。
用途によっては幹線道路に面しているとアクセス性も高いため高価格がつきますが、住宅用地として評価する場合には、騒音や排気ガスの影響がマイナス評価になることもあります。