不動産仲介事業者との契約の種類と注意点

2024.02.06 | ブログ 経営者のための 事業用不動産「超高値」売却術

不動産を売却するときには、不動産仲介事業者との契約が必要です。しかし、契約の種類によっては、売主の利益が損なわれる可能性もあります。

今回は、不動産仲介事業者との契約の種類と注意点についてお伝えします。


不動産仲介事業者との契約の種類

媒介契約

不動産仲介事業者との契約には、以下の3つの種類があります。

・専属専任媒介契約

この契約は、売主が一つの不動産仲介事業者だけに売却を依頼するものです。

他の不動産仲介事業者とは契約できませんし、自分で買主を見つけても契約できません。

この契約は、不動産仲介事業者にとっては最も有利な契約です。なぜなら、他社や売主と競合する心配がないからです。

そのため、不動産仲介事業者は、さまざまな理由をつけてこの契約を勧めてくることが多いです。

・専任媒介契約

この契約は、売主が一つの不動産仲介事業者だけに売却を依頼するものですが、自分で買主を見つけた場合は契約できるものです。

他の不動産仲介事業者とは契約できません。

この契約は、専属専任媒介契約よりは売主にとって有利ですが、まだ不動産仲介事業者にとっても有利な契約です。

なぜなら、他社と競合する心配がないからです。

・一般媒介契約

この契約は、売主が複数の不動産仲介事業者に売却を依頼するものです。

自分で買主を見つけても契約できます。この契約は、売主にとって最も有利な契約です。なぜなら、複数の不動産仲介事業者が競争してくれるからです。

しかし、不動産仲介事業者にとっては最も不利な契約です。なぜなら、他社や売主と競合する可能性が高いからです。

これら3つの契約の違いは、売主の自由度にあります。「専属専任媒介契約→専任媒介契約→一般媒介契約」の順で自由度は高くなります。

自由度が高いほど、売却価格や条件を有利に交渉できる可能性が高くなります。

いずれも3か月以内という契約期間の制限はありますが、不動産仲介会社は自社の利益が大きくなるよう、状況に合わせて策を練ることが可能となります。

そのため、さまざまな理由をつけて売主と専属専任媒介契約を結ぼうと考えます。


不動産仲介事業者の本音

不動産を売却するときには、不動産仲介事業者に手数料を支払わなければなりません。

手数料は売却価格の3%に加え6万円(※簡易式)です。高く売れば売るほど、手数料も高くなります。

そのため、不動産仲介事業者は売主と同じく「高く売りたい」と思っていると思われがちです。

しかし、実はそうではありません。不動産仲介事業者には、手数料以外にも利益を得る方法があります。

その方法とは、「安く買って高く売る」というものです。

例えば、不動産仲介事業者が自社や関連会社に相場より安く売却させて、すぐに相場価格で転売するとします。

すると、手数料よりもはるかに大きな利益を得ることができます。また、転売する際にも再び仲介として利用することで、さらに利益を得ることができます。

このように、不動産仲介事業者は複数回の取引を繰り返すことで、利益を増やすことができます。

この場合、不動産仲介事業者は「高く売る」よりも「早く売る」ことを優先します。

そのため、売却価格を低めに設定したり、買主の条件に合わせたりすることがあります。これは、売主の利益とは反対の方向に働きます。