事業用不動産の売却における「仮差押え」の対処法

2024.03.19 | ブログ 経営者のための 事業用不動産「超高値」売却術

事業用不動産を売却する際には、金融機関や他の債権者からの「仮差押え」に注意しなければなりません。仮差押えとは、債権者が裁判所に申し立てて、債務者の財産を処分できないようにすることです。仮差押えがされると、不動産の売却が困難になり、事業の資金繰りにも影響が出ます。

この記事では、仮差押えの原因と回避方法、そして仮差押えがされた場合の対処法について解説します。


仮差押えの原因と回避方法

 

仮差押えの主な原因は、債権者が債権回収の見込みがないと判断したときです。

例えば、あなたが事業用不動産を担保にして、A銀行から5000万円、B銀行から3000万円の融資を受けたとします。その不動産の価値は8000万円だとします。この場合、A銀行は一番抵当権を持っているので、あなたの事業が倒産しても、不動産を競売にかけて債権を回収できます。しかし、B銀行は二番抵当権しか持っていないので、不動産の売却金額からA銀行が5000万円を回収した後の残額しかもらえません。もし、不動産の価値が下がって7000万円になったとしたら、B銀行は2000万円しか回収できません。

このように、B銀行は常に債権回収のリスクを抱えています。 そこで、B銀行はあなたの事業の状況を注視し、事業が悪化した兆候があれば、すぐに仮差押えの手続きをとるでしょう。

仮差押えがされると、不動産登記簿にその旨が記載され、不動産の売却ができなくなります。また、他の債権者も仮差押えに続いて、商品在庫や事業用設備などの財産を差し押さえる可能性があります。これでは、事業を継続するのも困難になります。 仮差押えを回避するためには、以下のことに気をつける必要があります。

・金融機関や他の債権者との信頼関係を築く。返済計画を守り、遅延や滞納がないようにする。事業の状況や売却計画などを透明に報告する。

・金融機関や他の債権者に不要な不安を与えない。情報漏洩や噂などに注意する。二重担保や複数の借入などを避ける。

・仮差押えの申し立てがあった場合は、速やかに債権者と交渉する。返済能力や売却意思を示し、仮差押えの撤回を求める。


仮差押えがされた場合の対処法

仮差押えがされてしまった場合は、早急に対応する必要があります。仮差押えは、債権者が債権回収のために本差押えや競売の手続きをとる前の暫定的な措置です。仮差押えがされても、債務者はまだ財産の所有権を持っています。しかし、仮差押えがされた財産は、債権者の同意なしには処分できません。仮差押えがされた場合の対処法は、以下のようになります。

・仮差押えの内容を確認する。

仮差押えの申し立てをした債権者や裁判所から通知が届くはずです。通知には、仮差押えの対象となる財産や債権の額、仮差押えの理由などが記載されています。通知をよく読み、仮差押えの内容を把握しておきましょう。

・仮差押えの撤回を求める。

仮差押えの申し立てをした債権者と話し合いの場を持ちましょう。仮差押えの理由や背景を聞き、返済計画や売却計画を提示して、仮差押えの撤回を求めましょう。債権者が納得すれば、裁判所に仮差押えの撤回の申し立てをすることができます。

・仮差押えの取消しを求める。

債権者との話し合いがうまくいかない場合や、仮差押えに不服がある場合は、裁判所に仮差押えの取消しの申し立てをすることができます。仮差押えの取消しの申し立ては、仮差押えの命令が出された日から2週間以内に行わなければなりません。仮差押えの取消しの理由としては、債権が存在しない、債権の額が誤っている、仮差押えの対象となる財産が不適切である、などが考えられます。裁判所は、債権者と債務者の双方の主張を聞いて、仮差押えの取消しの可否を判断します。

事業用不動産の売却において、仮差押えは大きな障害となります。仮差押えは、債権者が債権回収のために、債務者の財産を処分できないようにすることです。仮差押えを回避するためには、債権者との信頼関係を築き、返済計画を守り、情報漏洩や噂などに注意しましょう。