賃貸住宅の売却:トラブルを避けるための戦略

2024.04.16 | ブログ 経営者のための 事業用不動産「超高値」売却術

賃貸住宅の売却は、多くの不動産オーナーにとって重要な経営判断の一つです。売却プロセスにおいては、様々なトラブルが発生する可能性がありますが、適切な準備と知識によってこれらを回避することが可能です。本記事では、賃貸住宅の売却に際して考慮すべきポイントと、トラブルを避けるための戦略について詳しく解説します。


買主と物件特性を考慮した売却戦略の策定

 

賃貸住宅

賃貸住宅の売却には、以下の三つの主要な戦略があります。

  1. 収益物件としてそのまま売却し、買主も賃貸業を継続する。
  2. 現況渡しで売却し、買主が更地にして新たな利用を計画する。
  3. 売主が更地にしてから売却する。

これらの選択肢を選ぶ際には、売却価格に大きな影響を与えるため、買主のニーズと物件の特性を考慮した戦略を策定することが重要です。

収益物件として売却する場合は、物件の収益性を検証し、近隣の同等物件との比較を行う必要があります。物件の構造によって耐用年数が異なり、それに伴いローンの利用可能期間も変わってきます。

例えば、鉄筋コンクリート構造の物件は耐用年数が47年とされており、築10年の物件であれば残存年数が37年あります。これにより、買主は比較的長期のローンを組むことが可能となります。

一方、鉄骨造の物件は耐用年数が34年、木造は22年とされており、築10年の物件ではそれぞれ残存年数が24年と22年となります。

これにより、ローンの期間も短くなり、買主にとっては購入が困難になりがちであり、結果として物件価格が下落する可能性があります。

老朽化が進んだり、入居率が低下しているなど、収益物件としての魅力が低い物件の場合、買主は購入後に更地にして再利用を検討することがあります。

このような需要を理解し、売主が自ら更地にすることで、売却価格を大幅に引き上げることが可能です。

しかし、更地にするためには、入居者対策と解体工事が必要となり、これにはコストと手間がかかります。

そのため、物件の特性や市場状況を慎重に分析し、居抜きで売却することでより大きな利益を確保できる場合もあります。


借地人との交渉は専門家に委託

賃貸物件を節税や相続対策として保有しているオーナーも多く、借地人が土地上に家を建てて居住しているケースもあります。

古い契約では賃借期間が定められていないため、土地を売却する際にはデリケートな明け渡し交渉が必要となることがあります。

特に、古い契約を結んでいる入居者の多くが高齢者であるため、住居の確保は深刻な問題です。

基本的には、引っ越し資金を提供して明け渡しを依頼しますが、交渉が難航すると感情的なトラブルに発展する可能性があります。

個人的な関係がある大家であれば、誠実な対話によって問題を解決することも可能です。

しかし、それが困難な場合には、弁護士などの専門家に交渉を委託し、感情的な対立を避けることが望ましいです。

借地の場合には、底地権のみを売却するか、借地権を買い取ってから売却するかの二つの選択肢があります。

理想的には借地権を買い取ってからの売却ですが、これが困難な場合には底地権のみの売却も検討すべきです。

買手との交渉では、「退居や借地権の取得ができない場合には違約金なしで契約を解除できる」という特約を設けることが有効です。

これにより、買主のリスクが軽減され、より多くの買手が興味を持つようになります。

賃貸住宅の売却は、適切な戦略と専門知識によって、トラブルを回避し、最大限の利益を得ることができる重要なプロセスです。

売却を検討しているオーナーは、上記のポイントを参考にしながら、自身の物件に最適な売却戦略を策定することをお勧めします。