廃業の際に特に注意すべきポイント

2024.04.12 | ブログ 経営者のための 事業用不動産「超高値」売却術

廃業を迎える際、経営者が直面する多くの課題の中でも、特に注意を払うべき重要なポイントがあります。

今回はリース会社との交渉と行政との仮差押え交渉に焦点を当て、そのポイントを詳しく解説します。


リース契約の交渉:一括払いの可能性

 

リース

多くの事業では、機材や用品をリースすることで初期投資を抑え、運転資金の確保に努めています。

例えば、ゴルフ練習場を経営する際には、打席周りの機器の大部分をリースに頼ることが一般的です。

これにより、購入に比べて初期費用を大幅に削減できるメリットがありますが、一方でリース契約はリスケジュールが困難であるというデメリットも存在します。

返済が困難になった場合、金融機関は返済条件の交渉に応じることがありますが、リース会社にはその義務がないため、経営者は予定外の売上減少にも関わらず、定められたリース料を支払い続けなければなりません。

しかし、事業を売却し、一括での支払いが可能になった場合、リース会社も交渉に応じることがあります。

完済が見込まれる場合、交渉によって最終的な支払い金額を減額することが可能です。


行政との交渉:仮差押えの予防

経営が困難になると、固定資産税の支払いが遅れがちになることがあります。このため、取引先ではないものの、行政との交渉も非常に重要になります。

他の支出が多い中で、固定資産税は後回しにされがちですが、行政は迅速に仮差押えの手続きを進めることがあります。

最近では、わずか1期分の支払い遅延で事業用地が仮差押えされるケースも増えています。

実際には、仮差押えの手続きに入る前に固定資産税の督促が行われますが、滞納者の中にはこれを無視する人も少なくありません。

行政は「支払う意思がない」と判断した場合、仮差押えの手続きに進みます。

仮差押えが行われると、不動産の売却ができなくなり、他の債権者が保全に走るため、事業が行き詰まる中で不動産を失うリスクがあります。

しかし、行政との交渉は比較的容易で、返済計画を提示することで仮差押えを解除することができます。

例えば、600万円の固定資産税の滞納がある場合、「毎月100万円ずつ返済する」というリスケジュールを提案することで、ほとんどの行政は交渉に応じます。

このような交渉術を身につけることで、仮差押えなどのトラブルを未然に防ぐことができます。

廃業を考える際には、これらのポイントを十分に理解し、適切な対策を講じることが重要です。

経営者としての責任を果たし、事業の閉鎖をスムーズに進めるためにも、リース会社や行政との交渉は慎重に行う必要があります。この記事が、廃業を迎える皆様の一助となれば幸いです。