事業用不動産の売却における「出口戦略」の重要性とポイント

2024.03.01 | ブログ 経営者のための 事業用不動産「超高値」売却術

事業用不動産を売却する際には、どのような戦略を立てるべきでしょうか?売却価格はどのように決めるべきでしょうか?

今回は、事業用不動産の「出口戦略」について、その重要性とポイントをご紹介します。


事業用不動産の売却は「事業の成否」にも影響する

不動産は高額な資産であり、売却することは「出口」と呼ばれます。収益用不動産などでは、売却時に得られる利益が事業の成果を大きく左右するため、「出口」における戦略が非常に重要です。もし、「出口」で高値売却できなければ、それまでの事業で得た利益が失われるだけでなく、負債を抱えることもあります。

一方で、土地は価値が下がりにくい資産です。市況に応じて適切なタイミングと方法で売却すれば、大きな利益を得ることも可能です。

また、負債を返済するための資金調達や事業再生のための資金源としても活用できます。

経営者にとって事業用不動産の出口は、事業の出口でもあります。「終わり良ければすべて良し」と言いますが、売却価格は事業の成否を決める重要な要素です。

事業用不動産の価値を最大限に引き出すためには、しっかりとした戦略を練り上げることが必要です。


売却価格の目安として役立つ「三段階の売値目標」

 

売上目標

事業用不動産の売却価格は、市場価格や需要と供給のバランスなどによって変動します。

そのため、売主としては「できるだけ高値」が望ましいですが、具体的な数字を決めることは難しい場合もあります。そんな時には、三段階の売値目標を設定してみると、売却計画を立てやすくなります。

仮に1億円の融資を受けて不動産を購入した経営者が売却を考える場合、以下のような売値目標が考えられます。

・売値目標①購入価格

購入価格は1億円なので、売値目標も1億円になります。これは「自分が購入した価格なので、そのくらいでは売れるはず」という現実的な考えに基づいた目標です。ただし、不動産の価格は市況によって変化するため、購入後に時間が経っている場合には、市場価格と乖離している可能性があります。

また、1億円で売れたとしても、収支がゼロになるわけではありません。購入時にも売却時にも仲介手数料や諸費用がかかります。仲介手数料だけでも3%かかるので、「買って」「売る」には合計6%(600万円)の仲介手数料が必要です。

 

・売値目標②残債以上

残債以上の売値目標は、売主のニーズに応えた目標です。経営不振で廃業する経営者にとって、不動産は最後の砦です。その後の人生を考えると、「せめて残債以上で売れてほしい」というのは切実な願いです。

しかし、残債と市場価格は無関係です。残債が大きすぎる場合は、現実的ではない売値目標となります。逆に市場価格より低い場合は、スピーディーな判断を促す判断基準となります。

「とりあえず借金を返済できればいい」と割り切れれば、売却における精神的なストレスは軽減されます。

 

・売値目標③できるだけ高値

できるだけ高値で売ることは、すべての売主が目指すべき目標です。不動産はポテンシャルの高い資産です。市況や需要に応じて適切なタイミングと方法で売却すれば、大きな利益を得ることができます。

ただし、売主によって事情は異なります。早急な負債返済を求められている人は、一定期間内に売却を終えることが必要です。そのため、「できるだけ高値」という売値目標には「事情が許す限り」という条件がつきます。

 

以上、事業用不動産の「出口戦略」の重要性とポイントについてご紹介しました。事業用不動産の売却は、事業の成否や経営者の人生にも大きく影響する重要な決断です。市場価格や需要を把握し、適切な売値目標を設定することで、事業用不動産の価値を最大限に引き出しましょう。